奈良大和路~悠~遊~

奈良大和路の祭や伝統行事、四季折々の風景を 写真で綴るフォトブログです。大和は国のまほろば、神や仏に近しく 奥は深くて おもしろい!

桜井 箸中のノグチサン(野神祭り) 2017

箸墓古墳の東に広がる箸中地区(大字)で「ノグチサン(野口さん)」と呼ぶ野神行事が行われます。地元では「ノグッタン」とも言っているようで、今は土用の丑の日に近い日曜日に行われています。本来は半夏生10日目の野休めの時期にあたります。

数えで17歳になった男子が主役の行事です。該当者が居ない年は行われません。今年は17歳を迎えた少年が一人居ました。その家族(ヤドモト、宿許)や地区の役員さんの指導・協力のもとに斎行されました。

当日の朝、国津神社境内で綱の輪(ジャ、蛇)作りが始まります。割り竹3、4本を束ねて直径約1.5mの輪を作り、これに麦藁の束を直交させて結んで繋ぎ(結び目の突起ができる)編みこんでいきます。「結び目は48個と決まっとるんやが、その意味は分からん」(区長さん)そうです。

完成した輪は先端部の枝葉を残した青竹に結びつけ、神社拝殿に立て掛けます。拝殿前の案(台)に、少年が描いた牛と唐鋤の絵馬、ツノメシ(角飯)・サシサバなどの神饌、法螺貝、榊などを供えます。一同そろって拝礼後、綱の輪や供物を持って井寺池に向かいます。道中、少年は法螺を吹き鳴らします。野神行事では珍しいことです。

池にお神酒を捧げてから輪(ジャ)をザブンと水に浸けます――水神の化身とされるジャの扱いの一面が現れています。青竹は輪から外し池の水門に結びつけます。輪は池のフェンスに立て掛け、前に供物を置き、池に向かって拝礼します。

次いで「カンジョ(神上)」と呼ばれる場所に移動。アオキの大木(野神さん)に輪を立て掛け、前に絵馬、ツノメシなど供物を並べて拝礼します。

「おめでとうさん」と一同拍手。「今日から大人やで」と主役を務めた少年に声が掛かります。豊作を祈願する農耕儀礼であるとともに、少年から大人への通過儀礼を併せ持った行事であることがよく分かります。その後、綱の輪は残して神社に戻り、会所で直会を行います。

ノグチサンの名称の由来は詳らかでありません。一説に「クチ」は「クチナワ(蛇)」と同義語であり、水の神様、野の神様である「野の蛇様」を祀る行事――「ノグチサン」と呼ぶようになったのではないか、とあります(桜井市埋蔵文化センター)。

なお、近隣の野神行事には他に下に挙げたものなどがあります。

関連記事(当管理者の関連写真記事へのリンク)
 ・川西町下永(東城) 野神祭り 「キョウ」 2017
 ・川西町下永(西城) 野神祭り 「キョウ」 2017
 ・上品寺町 シャカシャカ祭り 2017 
 ・田原本町 矢部の綱掛 2017
 ・田原本町(杵築神社) 今里の蛇巻き 2016
 ・田原本町(八坂神社) 鍵の蛇巻き 2016
 ・野口神社 蛇穴の汁かけ祭り・蛇綱ひき 2016
 ・新泉 素盞嗚神社 野神祭 2015
 ・地黄町(人麿神社) すすつけ祭り 2009



箸中 ノグチサン1
長老の指導で綱を輪状に編む少年=撮影:2017/7/16 奈良・桜井市箸中


箸中 ノグチサン2
青竹に綱を括りつけます=撮影:2017/7/16 奈良・桜井市箸中


箸中 ノグチサン3
ツノメシ(角飯)――米1升と水7合で炊いた飯を木枠に詰めて固めたもの。4隅がやや尖って見えます=撮影:2017/7/16 奈良・桜井市箸中


箸中 ノグチサン4
法螺貝を吹き鳴らし池に向かう行列のみなさん。背後に左から畝傍山、耳成山が見えます。この日は遠方が霞んでいて二上山は隠れて見えません。右端に箸墓古墳の一部が覗いています=撮影:2017/7/16 奈良・桜井市箸中


箸中 ノグチサン5
井寺池の水に綱を浸ける少年=撮影:2017/7/16 奈良・桜井市箸中


箸中 ノグチサン6
カンジョ(神上)に到着し野神の木(アオキ)に綱、絵馬、神饌などを納めます=撮影:2017/7/16 奈良・桜井市箸中


箸中 ノグチサン7
野神さんに拝礼する少年と区長さん。後に少年の家族や役員らも並んで拝礼=撮影:2017/7/16 奈良・桜井市箸中

スポンサーサイト

テーマ:祭り/イベント - ジャンル:写真

  1. 2017/07/21(金) 10:57:22|
  2. 7月の祭り/行事
  3. | コメント:0

大和郡山 新城神社 祇園祭宵宮 2017

新城(にき)神社は新木(にき)町の環濠集落の中にあり、周りには金魚の養殖池が広がります。宮内庁管理の新木山古墳が近くに位置します。

新城神社の創建年代は不詳ですが、境内地は『日本書紀』『続日本記』に見られる「新城宮」の跡とされます。郡山藩主・柳沢保光の自筆と伝わる「牛頭(ごず)天王」の扁額が掛かっていますが、明治の神仏分離令により「新城神社」に改め今日に至ります。(神社由緒記)

13日は牛頭さんを祀って疫病を鎮める祇園祭の宵宮。神社総代と4ヵ大字の役員さんらが臨席して祭典が始まります。一般参拝者はほとんど居ません。拝殿前に設けられた斎場で湯立(御湯)神楽が行われます。植嶋宮司と湯立巫女(加奥さん)はともにご高齢ながら、若々しく祝詞、祓詞を奏上。

40~50年前には神輿を担いで矢田口の御旅所までお渡りしたといいます。六角形の神輿(大正8年寄贈)は、今では倉庫で開陳されるだけ。往時の盛大な渡御行列の様子が、拝殿に掲げられた絵馬(先代宮司画、昭和44年寄進)からしのばれます。

関連記事(当管理者の関連写真記事へのリンク)
 ・登彌神社 豊穣祈年祭/御湯神事 2014



新城神社 祇園祭1
宵宮祭の始まりを待つ宮司さんと巫女さん。斎場には湯立ての湯釜(寄進年は不明)=撮影:2017/7/13 奈良・大和郡山市新木町


新城神社 祇園祭2
献饌の儀(許可を得て撮影)=撮影:2017/7/13 奈良・大和郡山市新木町


新城神社 祇園祭3
湯立神事(御湯)を行う巫女・加奥さん=撮影:2017/7/13 奈良・大和郡山市新木町


新城神社 祇園祭4
太鼓とチャッパ/チャンポラ(銅鈸子、どうばつし)の音に合わせ、巫女神楽の鈴でお祓いを受ける参拝者。夜の8時過ぎまで参拝者は続くそうです=撮影:2017/7/13 奈良・大和郡山市新木町


新城神社 祇園祭5
かつての盛大なお渡り行列がしのばれる絵馬(前宮司さん画)。真ん中に描かれた神輿(御輿)は現在倉庫に保管・展示されています=撮影:2017/7/13 奈良・大和郡山市新木町

テーマ:祭り/イベント - ジャンル:写真

  1. 2017/07/14(金) 21:41:57|
  2. 7月の祭り/行事
  3. | コメント:0

餅飯殿町 理源大師慶讃法要 2017

餅飯殿と書いて「もちいどの」と読む風変わりな地名は、修験道の再興の祖とされ、後に京都の醍醐寺を開いたことで知られる聖宝(しょうぼう)理源大師にちなみます。

平安前期に、聖宝が修験の大峰山を再興する際、この郷(蕗之畠郷)に住む勇敢な若衆がお供し、聖宝に助力して吉野の山中で大蛇退治をなしとげました。これを称えて町民は餅と飯を献上して労をねぎらったといいます。その後、理源大師から「餅飯殿へ」と書かれた礼状が届いたことから、餅飯殿郷と呼ばれるようになり、これが現在の町名の由来になったと伝わります。

行者姿の理源大師像と役行者像を祀った聖宝理源大師堂が、もちいどの商店街の中央付近の奥まったビルの1階に建ちます。毎年7月6日と7日だけ公開され、7日には東大寺の僧侶による法要が営まれます。大峰山の再興に努めた時期は聖宝が東大寺に入り修学中のことであり、また東大寺東南院(現本坊)を開いたことなどから、聖宝とは縁の深い東大寺です。今年は別当・狭川普門師、上司永照師および佐保山暁祥師が出仕し読経されました。なお、聖宝の命日にあたる8月6日は東大寺で聖宝忌が営まれています。

没後1100余を経た今も、こうして餅飯殿町では聖宝に対する敬慕の念を失わず祀り続け、また「大峰山上講」として毎年7月中頃に行う山上参りも絶えることなく続けているそうです。

なお大師堂の左側にあるのは餅飯殿弁財天社。興福寺南円堂の建立の際、当地にも吉野天川の7弁財天神を勧請して祀ったと伝わります。7月6日と7日に「弁財天七夕夏祭り」が行われていますが、これについては、改めてご紹介するつもりです。

関連記事(当管理者の関連写真記事へのリンク)
 ・興福寺 弁才天供 2017



理源大師法要
別当・狭川普門師ら東大寺僧侶による聖宝理源大師法要。左は餅飯殿弁財天社(許可を得て撮影)=撮影:2017/7/7 奈良市餅飯殿町

テーマ:祭り/イベント - ジャンル:写真

  1. 2017/07/13(木) 12:01:46|
  2. 7月の祭り/行事
  3. | コメント:0

興福寺 弁才天供 2017

興福寺南円堂の南西に建つ三重塔(国宝)は北円堂(国宝)と並んで興福寺で最古の建物。鎌倉時代の初頭に再建されて現在に至ります。その初層に弁才天が他の尊像とともに祀られています。

興福寺の弁才天はとくに窪弁才天と呼ばれ、南円堂の建立に際し、弘法大師が天川から三重塔の西に勧請したと伝わります。7月7日は弁才天の日。年1回の三重塔の特別に開扉され、弁才天供の法要が行われます。

関連記事(当管理者の関連写真記事へのリンク)
 ・興福寺 文殊会 2016
 ・興福寺 慈恩会 2015
 ・興福寺 放生会 2015



興福寺 弁才天供1
南円堂の下に建つ優美な小塔、三重塔。梅雨時とあってテント
が設置=撮影:2017/7/7 奈良市登大路町


興福寺 弁才天供2
鐘楼の下を三重塔に参進する興福寺一山の僧侶=撮影:2017/7/7 奈良市登大路町


興福寺 弁才天供3
窪弁財天の提灯が掲げられた三重塔に上堂する多川俊映貫首
=撮影:2017/7/7 奈良市登大路町


興福寺 弁才天供4
法要が続く三重塔(南側の外から)=撮影:2017/7/7 奈良市登大路町

テーマ:祭り/イベント - ジャンル:写真

  1. 2017/07/12(水) 18:42:31|
  2. 7月の祭り/行事
  3. | コメント:0

花めぐり 元興寺 キキョウ(桔梗) 2017

元興寺の花といえば、ハギ(萩)とキキョウ(桔梗)。どちらも秋の七草に数えられますが、キキョウは初夏から咲き始めます。

元興寺ではいま、和の気品を感じさせる青紫色の星形の花――キキョウが、浮図田(ふとでん)に並ぶ石塔・石仏の間で風に揺れ、うっとうしい梅雨期をいくぶん和らげてくれています。

関連記事(当管理者の関連写真記事へのリンク)
 ・元興寺 かえる石供養 2017
 ・元興寺 仏生会 2017
 ・元興寺 地蔵会万燈供養 2016



元興寺 キキョウ1
撮影:2017/7/7 奈良市中院町


元興寺 キキョウ2
撮影:2017/7/7 奈良市中院町


元興寺 キキョウ3
撮影:2017/7/7 奈良市中院町


元興寺 キキョウ4
撮影:2017/7/7 奈良市中院町

テーマ:花の写真 - ジャンル:写真

  1. 2017/07/10(月) 19:16:49|
  2. 花便り
  3. | コメント:0
次のページ

ブログ内の検索

フォントサイズ変更ボタン

文字を大きくする 文字を規定のサイズに戻す 文字を小さくする

L/Sボタンを押すたびに文字サイズが大きく/小さくなり、設定は30日間保存されます。Mボタンで元のサイズに戻せます。

カレンダー

06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

プロフィール

Author:なわじゅん
・奈良県北部在住の男性です。1300年の歴史に根ざす奈良大和の人々の信仰に支えられてきた神事・仏事や祭り、伝統行事、民俗を主に紹介しています。
・写真をご利用希望の方はメールフォーム(下段)からお問い合わせください。

次のHPも運営しています。
「野に咲く花たち」――身近に咲く花、高山に咲く花の写真、野草のウェブ図鑑

Copyright © 2013 奈良大和路~悠~遊~ All rights reserved.

最新記事 (10件を表示)

これより古い記事は「月別アーカイブ」や「カテゴリ」からご覧ください。「ブログ内検索」もご利用いただけます。

カテゴリ

1月の祭り/行事 (63)
2月の祭り/行事 (90)
3月の祭り/行事 (76)
4月の祭り/行事 (61)
5月の祭り/行事 (65)
6月の祭り/行事 (56)
7月の祭り/行事 (62)
8月の祭り/行事 (68)
9月の祭り/行事 (40)
10月の祭り/行事 (83)
11月の祭り/行事 (23)
12月の祭り/行事 (82)
新年のご挨拶 (7)
暑中見舞い (3)
季節の風景・春 (69)
季節の風景・初夏 (5)
季節の風景・夏 (6)
季節の風景・秋 (61)
季節の風景・冬 (11)
朝焼け・夕焼け (8)
平城遷都1300年祭 (7)
花便り (94)
大和の古墳 (1)
大和路の石仏・石造物 (6)
慰霊と復興への祈り (4)
月と星 (2)
大和の古社寺 (5)
写真展 (9)
未分類 (1)
花めぐり (0)

月別アーカイブ

最新コメント

リンク

このブログをリンクに追加する

メールフォーム

メールの送信はこちらからどうぞ。名前、アドレス、本文などは公開されません。

お名前:
メール・アドレス:
件名:
本文:

QRコード

QRコード

RSSリンクの表示

Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ