采女(うねめ)祭は、奈良時代に帝(みかど)の寵愛が薄れたのを嘆いて
猿沢池に身を投げた采女(うねめ、女官)の霊を慰めるため、毎年
中秋の名月の夜に行われ伝統行事です。
猿沢池の池畔にある采女の霊を祀る神社(
春日大社の末社、
采女神社)で神事の後、雅楽が奏でられるなか、2隻の管弦船が流し灯籠の浮かぶ
猿沢池を巡り、最後に季節の花で飾った花扇を池に投じて采女の霊を鎮めます。「管弦船の儀」と呼ばれる
采女祭のなかのクライマックスです。
月が特に美しいとされる
中秋の名月ですが、今年は満月と「
中秋の名月」が一致し(次は7年後)、雲一つない初秋の夜に綺麗な満月が浮かび上がりました。また、
采女祭りは4年ぶりに通常規模で執り行われたこともあってか、
猿沢池の周りは大勢の見物客で賑わいました。
興福寺の五重塔は修理工事が始まって、ライトアップはありません。なので過去の撮影位置とは異なる場所を選びました。今回は久々に(9年ぶりに)
采女祭に出かけ、花扇を池に献じるところを確認できるなど愉しめました。
関連記事(当管理者の関連写真記事へのリンク)
・
采女神社(猿沢池) 采女祭 2014 ・
采女神社(猿沢池) 采女祭 2010 ・
采女神社(猿沢池) 采女祭 2009

花扇使や楽人と共に花扇を乗せた龍頭の管弦船。かがり火を掲げて猿沢池のゆっくり巡ります。初秋の夜空に満月の「
中秋の名月」が(左上隅)浮かんでいます=撮影 2023/9/29 奈良市登大路町

天平衣装の女官たちが乗る船首が鳳凰の管弦船が続き、ドライアイスで演出の白浪を立てて進みます=撮影 2023/9/29 奈良市登大路町

管弦船の儀の締めくくりに、艶やかな衣装の花扇使が合掌して鎮魂の祈りを捧げるなか、花扇を池に投入して采女の霊を鎮めます。池の中央付近で暗く、ちょっと見づらい儀式でした=撮影 2023/9/29 奈良市登大路町
スポンサーサイト
テーマ:祭り/イベント - ジャンル:写真
- 2023/09/30(土) 23:19:23|
- 9月の祭り/行事
-
-
| コメント:0
大和神社で秋分の日に行われている「
紅しで踊り」は、もとは江戸時代に起源をもつ
雨乞いの祈願と
満願お礼の踊りでした。不定期な行事とはいえ長らく途絶えていたところ、1964(昭和39)年10月に保存会が結成され、復活・整備されて朝和地区婦人会の皆さんが紅色のしで(紅幣)を手にして踊りを奉納するようになりました。天理市の無形民俗文化財に指定されています。
五穀豊穣を祈る秋の大祭の神賑わい行事として午後1時半から「紅しで(幣)踊り」が奉納されます。最近では近くの幼稚園児による可愛い
紅しで踊りも加わって秋の恒例行事となっていましたが、コロナ禍による中断を余儀なくされて、今年は4年ぶりの開催となりました。久しぶりに見る紅色のしでが境内を染める華やかなひと時でした。
関連記事(当管理者の関連写真記事へのリンク)
・
大和神社 紅しで踊り 2014 ・
大和神社 紅しで踊り 2012 ・
大和神社 紅しで踊り 2011

ご婦人たちの奉納踊り。♪ ヨイトコ ヨイトコ ヨーイヤナー …♪ 大太鼓2台を取り囲み、「紅しで」を手に反時計方向に回ります=撮影 2023/9/23 奈良・天理市新泉町

♪ テーツク テーツク ツーテーツクツ …♪ 赤たすきの幼稚園児たちによる可愛い紅しで踊り=撮影 2023/9/23 奈良・天理市新泉町
テーマ:祭り/イベント - ジャンル:写真
- 2023/09/24(日) 12:39:55|
- 9月の祭り/行事
-
-
| コメント:0
毎月17日は観音様の縁日です。特に旧暦8月17日は「
十七夜」と呼ばれ、古くから各地の観音霊場で法要や催しが行われてきました。
十一面観音を本尊とする
東大寺二月堂では、毎年9月17日にお堂の内外に万燈明が灯され、
十七夜の法要が営まれます。法要が終わるころ、
二月堂下の広場(法華堂と三昧堂の間)で
十七夜盆踊りが行われます。「踊り納めの
盆踊り」とされ、「関西の踊りじまい」とも呼ばれ、関西一円から踊り好きの老若男女が駆けつけているようです。
今年は4年ぶりの開催とあって、この日を待ってましたと馳せ参じた大勢の踊り好き。お揃いの衣装を着たグループや普段着姿の踊り手さんたちは、河内音頭や江州音頭の軽やかな旋律に乗って大汗をかきながら夏の終わりを愉しんでいました。9月半ばとは思えない暑い残暑もお構いなし。ひときわ暑いあつい
東大寺二月堂の夜でした。
関連記事(当管理者の関連写真記事へのリンク)
・
東大寺二月堂 十七夜盆踊り 2019 ・
東大寺二月堂 十七夜盆踊り 2014 ・
東大寺二月堂 十七夜盆踊り 2013 ・
東大寺二月堂 十七夜盆踊り 2012 ・
東大寺二月堂 十七夜盆踊り 2010

十七夜法要を厳修中の二月堂東回廊。堂の内外に願い事や絵を描いた夥しい数の灯籠が並べられ、日没とともに荘厳な雰囲気が漂います=撮影 2023/9/17 奈良市雑司町

法華堂、三昧堂と開山堂に囲まれた広場では、十七夜の盆踊りが始まった=撮影 2023/9/17 奈良市雑司町

法被(はっぴ)、和服、それに普段着の踊り手たちは、老いも若きもそれぞれに「納めの盆踊り」を愉しんでいる=撮影 2023/9/17 奈良市雑司町

元気いっぱいの万年青年=撮影 2023/9/17 奈良市雑司町

みんなサマになってます。「南海ホークス」の法被を着た若衆(?)も。18年ぶりにリーグ優勝を果たした阪神タイガースファンの姿は目にしませんでした(居たかもしらんけど)=撮影 2023/9/17 奈良市雑司町

毎回見かける「スターダスト河内」のメンバーは、笑顔もよく踊りも綺麗=撮影 2023/9/17 奈良市雑司町

盆踊りを満喫=撮影 2023/9/17 奈良市雑司町

幾重にも踊りの輪ができ、ほとんど休む間なく踊りを愉しむ人、人、人。4年ぶりに見た東大寺境内の盆踊り風景です=撮影 2023/9/17 奈良市雑司町
テーマ:祭り/イベント - ジャンル:写真
- 2023/09/19(火) 15:33:29|
- 9月の祭り/行事
-
-
| コメント:0
茶筌の里として知られる高山(生駒市)に鎮座する
高山八幡宮は、中世にこの地の領主・鷹山氏の氏神として栄えました。759年(天平勝宝元年)に東大寺の大仏の守護神として宇佐から八幡神を迎える際に、頓宮(仮殿)としたのがこの
高山八幡宮といわれています。
八朔とは8月朔日、つまり旧暦の8月1日のことですが、毎年9月1日に風雨安穏・五穀豊穣・家内安全を祈願して
八朔祭が行われます。庄田、大北、久保、宮方、芝の5自治会の役員さん(各2名)が参列。今年は巫女による「鈴の舞」のお祓いはありませんでした。
解体修理中であった本殿(国重文、室町時代)は2021年3月に竣工しました。新型コロナのこともあり、しばらくは年間行事に訪れていませんでしたが、4年ぶりに八朔(はっさく)祭を拝見しました。
関連記事(当管理者の関連写真記事へのリンク)
・
生駒 高山八幡宮 八朔祭 2019 ・
生駒高山 茶筌の里 竹の寒干し 2019 ・
生駒 高山八幡宮 秋祭り(宵宮) 2014

高山八幡宮 一の鳥居=撮影 2021/1/18 奈良・生駒市高山町

解体修理が完成した本殿(過去の撮影)=撮影 2021/1/18 奈良・生駒市高山町

八朔祭当日、祭典前に拝殿から本殿を拝する=撮影 2023/9/1 奈良・生駒市高山町

役員10名は烏帽子と白浄衣に水色の袴を着用し祭典に臨み修祓(お祓い)を受ける=撮影 2023/9/1 奈良・生駒市高山町

献饌=撮影 2023/9/1 高山八幡宮 八朔祭

宮司が祝詞奏上のあと、役員さんは順に玉串奉奠=撮影 2023/9/1 奈良・生駒市高山町

献灯の明かりに浮かぶ境内石段=撮影 2023/9/1 奈良・生駒市高山町
テーマ:祭り/イベント - ジャンル:写真
- 2023/09/03(日) 12:03:52|
- 9月の祭り/行事
-
-
| コメント:0
「
おわら風の盆」といえば、富山県の八尾(やつお)地域で行われている伝統的な夏祭り・盆踊りです。二百十日にあたる時期に風神鎮魂と豊作を祈るもので、編み笠姿で越中おわら節に合わせて踊ります。およそ300年の歴史があるそうです。「おわら」が意味するところについては諸説あり、「お笑い」説、豊作を願う「大藁(おおわら)」説、八尾近郊の小原村説などありますが、どれも決定的ではないようです。
この有名な
おわら風の盆が現地に行かずとも東大阪市の
枚岡神社で拝観できるという情報を得て出かけました。大阪にある越中八尾おわら道場関西支部のみなさんによる奉納です。(昨年も訪れましたが、残念ながら神賑わい行事は急遽中止となっていました。)
枚岡神社では神前と境内に感謝と祈りの灯りが灯されます。神事の後、境内で祈祷木(札)焼納祭が執り行われますが、昨年紹介しましたので(
⇒こちら)今回は省きます。
焼納祭が終わると、いよいよ
おわら風の盆の奉納です。一の鳥居から哀調を帯びた音曲に乗って踊り手が夕闇迫る参道を「町流し」で進みます。広場では女踊り、男踊りや夫婦踊りなどが演じられ、多くの人々を魅了しました。その後、千燈明踊りと名付けられた盆踊りが繰り広げられましたが、暑いので早めに退散。集まった近隣の踊り好きは夏の夜を愉しんだことでしょう。
関連記事(当管理者の関連写真記事へのリンク)
・
東大阪・枚岡神社 燈明祭 2022 ・
東大阪・枚岡神社 お笑い神事 2021

参道に並べれた夥しい数の燈明。日暮れとともに輝きを増す=撮影 2023/8/27 大阪・東大阪市出雲井町

艶やかな朱鷺(とき)色の衣装に身を包み編笠を被った女衆、黒ずくめの衣装の男衆、それと哀調を帯びた調べを奏でる地方衆が参道を「町流し」で進みます=撮影 2023/8/27 大阪・東大阪市出雲井町

本殿階段下の広場でおわら風の盆の踊りを奉納披露。長い歴史の中で洗練された芸能は見る人を魅了してやみません=撮影 2023/8/27 大阪・東大阪市出雲井町

女性だけで踊る優雅な「女性踊り」=撮影 2023/8/27 大阪・東大阪市出雲井町

きびきびとした動きが大きく勇壮な「男踊り」。後方は胡弓、三味線、太鼓などの地方(囃し方)=撮影 2023/8/27 大阪・東大阪市出雲井町

「男踊り」は案山子(かかし)踊りともいわれ、農作業の所作を取り入れたものとか=
撮影 2023/8/27 大阪・東大阪市出雲井町

男女のペアで演じる「夫婦踊り」=撮影 2023/8/27 大阪・東大阪市出雲井町

身体を寄せ合う「夫婦踊り」の一場面ですが、撮影の位置取りが悪くて残念=撮影 2023/8/27 大阪・東大阪市出雲井町

おわら風の盆の奉納が終わったあと、一の鳥居から見た西の空。下方は近鉄枚岡駅。この日も暑い一日でした=撮影 2023/8/27 大阪・東大阪市出雲井町
テーマ:祭り/イベント - ジャンル:写真
- 2023/08/30(水) 11:14:26|
- 8月の祭り/行事
-
-
| コメント:0
次のページ