<#おうちで奈良旅 過去に撮影した写真で記事を構成しています>
外出自粛の要請を受け、ならばと過去に撮りためた「大和路の石仏・石造物」や「大和棟造りの民家」をシリーズとして取り上げています。
大和棟は奈良盆地農村の民家を代表する形態といわれ、あるいは日本で最も美しい構成美の民家と評されることもあります。しかし生活様式や建築素材の変化により、誇りある大和棟が消えつつあることに気が付きます。
ここ数回は生駒山麓を巡り、「タカヘ(高塀)」造りや生駒の地に特徴的な「生駒型」の大和棟を見てきました。今回は大和の国中(くんなか)と古くから称される大和盆地内、薬師寺の立地する西ノ京を巡ってみました。かつて当地の大和棟の戸数は11を数えていました(三宅伊都子 奈良教育大 1979年)が、いまは7~8戸といったところ。もとより専門家ではないため屋根の類型判定があいまいなので、大雑把な数であることを含みおきください。
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門、蔵、納屋で囲まれた「囲み造り」の屋敷構えの中にある主屋は、均整の取れたタカヘ(高塀)造りの大和棟。当家の老婦人によれば明治41年5月建築(築後約110年)の建物。屋根の葺き替えが終わったばかりの時に撮影させていただいた=撮影 2016/3/21 奈良市西ノ京町

秋篠川の左岸に建つ尖ったタカヘ造りが目立つ民家。タカヘの頂部に「鳩」の鳥衾(とりぶすま)がのります(ひとつ上にあげた民家にも同じく「鳩」が)。現在は居住されていないようす=撮影 2016/2/25 奈良市西ノ京町

主屋の屋根はトタンで覆われた「歪み高塀」=撮影 2016/2/25 奈良市西ノ京町

「歪高塀」の一種?=撮影 2016/2/25 奈良市西ノ京町

茅葺の古民家を利用した料理店。棟には針目覆いがのる。切妻の高塀部分はない。立地は西ノ京でありませんが整った姿なので掲載=撮影 2016/3/25 奈良市六条町
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- 2020/05/06(水) 18:25:22|
- 大和棟
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<外出自粛中につき、過去に撮影した写真で記事を構成しています>
今回は生駒市北西部にある南田原町野所(のじょ)で出会った
大和棟をご紹介します。野所は天野川上流域の右岸に位置する小さな集落ですが、
大和棟の大きな民家が軒を並べるように建っています。
集落内に足を踏み入れると家屋や塀に遮られてよく見えませんが、近くの高台から眺めれば
大和棟は7~8戸を数えることができます。全体で20戸ほどの集落ですから、
大和棟の割合は他所と比べてそうとう高いといえます。瓦棟をのせた「生駒型」と呼ばれる「台棟造り」が多いようです。
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高塀造りの母屋を囲むようにして納屋や蔵がたち密集する野所集落=撮影 2016/2/8 奈良・生駒市南田原野所

台棟造り=撮影 2016/7/22 奈良・生駒市南田原野所

切妻の壁は板張り=撮影 2016/7/22 奈良・生駒市南田原野所

門や納屋、蔵で囲まれた台棟造りの母屋=撮影 2016/7/22 奈良・生駒市南田原野所

高台から遠望した野所集落。いくつも大和棟が見える=撮影 2016/7/22 奈良・生駒市南田原野所
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- 2020/05/03(日) 16:52:25|
- 大和棟
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<外出自粛中につき、過去に撮影した写真で記事を構成しています>
茶筌の里として知られる高山町は富雄川流域の北部、小高い丘が点在する田園地帯に広がります。中世にこの地の豪族・鷹山氏の支配を受けて栄えた集落です。18世紀半ば以降に奈良盆地から大阪平野にかけて富農層に広まったといわれる
大和棟ですが、高山地区にも
大和棟の民家が散見されます。
大和棟の基本形態は「高塀(タカヘ)」(棟が妻の高塀より一段低いもの
⇒こちら)、「中高塀」(棟が高塀の高さと同じもの)および「ひずみ高塀」(棟が高塀より高いもの)の3つですが、これをもとに変化・発展をとげて、さらに多様な形態が生まれたとのことです(早瀬哲恒 『人文地理』
10, 251, 2009)。
例えば、棟と妻の高塀との関係性によって箱棟・変形箱棟・台棟・置棟などに分類されています(早瀬)。ですが、あまり形態名称にこだわると煩雑になりますので、ほどほどにしておきます。ともあれ写真をご覧ください。
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両妻の高塀の上部に被さって瓦棟が置かれた「台棟」と称する屋根形式の大和棟の民家。この形態は生駒型といわれ生駒山麓、生駒谷、矢田丘陵などに多く見られるそうです。本来、煙り出し屋根の下はかまど(くど)がある土間ですが、いまではかまどの必要性がなくなり、多くの場合、煙り出しは撤去されています=撮影 2016/6/1 奈良・生駒市高山庄田

富農をしのばせる構えの民家の遠景。母屋を門、蔵、納屋などで囲んだ屋敷取りです=撮影 2016/6/1 奈良・生駒市高山大北

上と同じ民家の屋根(大和棟)の近影。瓦葺の「台棟」と「タカヘ(高塀)」の対比が美しい。大屋根はスレート葺きで、切妻の両側に落棟がつき、片側には「煙り出しヤグラ」が載っている典型的な大和棟です。各棟の先端に載る鳥衾(とりぶすま)も目立ちます=撮影 2016/6/1 奈良・生駒市高山大北
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- 2020/05/02(土) 16:47:34|
- 大和棟
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<外出自粛中につき、過去に撮影した写真で記事を構成しています>
奈良大和には「タカへ(高塀)造り」と称する独特の美しい屋根型の民家があります。大和盆地を中心に河内、南山城にかけて多く分布するところから「
大和棟」とも呼ばれます。
大和棟の基本型は急傾斜した切妻屋根の妻を白壁で塗り込め、上を塀のように一段高くして2〜3列の平瓦と丸瓦を組んで葺きおろし――ゆえに「タカへ(高塀)」と呼びます――、その両側あるいは片側に緩い傾斜の落棟をつけ、煙り出しのヤグラを載せた形態をいいます。
実際にはタカヘの形態や屋根葺き素材も含め実に多様な変化型がみられます。生活様式や建物素材の変化を受けながらも、
大和棟の形態は今なお残っていますが、その美しい姿が徐々に失われつつあるのは実に残念に思うところです。
今回は生駒市の北部に位置する山間の鹿畑町で見た典型的な「タカヘ造り」の民家です。さほど大きくない集落の密集した民家の屋根の間から同形態のタカヘがのぞいています。
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タカへ造りの美しさは切妻屋根の両端の飾り瓦と棟仕舞い、切妻と落棟の屋根傾斜のバランスにあります。切妻の両翼に落棟を伴いますが、煙り出しのヤグラはありません。タカヘの丸瓦はなんと5列です。幸い上方から印象的なタカヘ造りの雄姿を見ることができます=撮影 2016/6/2 奈良・生駒市鹿畑町

甍の波の上に聳え立つタカヘ=撮影 2016/6/2 奈良・生駒市鹿畑町

一般に大和棟は家格の高い家に発展したといわれます。タカヘ(高塀)の頂きに載る鳥衾(とりぶすま)は鹿畑に独特のようです=撮影 2016/6/2 奈良・生駒市鹿畑町

上と同じ民家。片側の妻壁に落棟はなく、庇がまわっています=撮影 2016/6/2 奈良・生駒市鹿畑町

撮影 2018/10/7 奈良・生駒市鹿畑町

この集落にしては数少ない「台棟造り」の大和棟=撮影 2019/5/1 奈良・生駒市鹿ノ台
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- 2020/04/30(木) 17:33:51|
- 大和棟
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信貴生駒の東に延びる山麓、生駒郡平群(へぐり)町を見下ろす高台の広い敷地に建つ藤田家。整った大和棟の民家として国の重要文化財に指定(昭和53年1月)されています。
当初は元禄年間(1688~1703)に建てられた茅葺き入母屋造りでした(古図が伝わる)が、18世紀後半に大和棟に改築。その後2度(文化4年と明治末年)の改修を経て、昭和59、60年度に行われた半解体修理の際、初回改造時の構造に復元され、現在の美しい姿になっています。(平群町ホームページ)
藤田家は鎌倉期に上杉氏、甲斐武田氏に仕え、室町期に大和国に移って筒井氏、藤堂氏に仕えた武士の家柄。その後平群に転封され、江戸時代初期に帰農し庄屋を務めています。表門を構え白い長い塀を巡らせた屋敷は陣屋を彷彿とさせます。
秋の特別公開を機に、内部を拝見させていただきました。
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美しい大和棟の民家建築。主屋の本屋根は切り妻茅葺き、両妻は高塀造り本瓦葺き。落屋根は煙出しのある切り妻造りで庇とともに本瓦葺=撮影 2017/11/0 奈良・生駒郡平群町福貴

左右とも高塀と庇の間は弧を描いて繋がっているのが特徴的=撮影 2017/11/0 奈良・生駒郡平群町福貴

内玄関を入った土間の上の高い天井。正面に見える桁は、巨大な材が用いられていて、写真で見るより実際にはとても大きく感じられる。天井は割竹を用いた美しいすのこ天井=撮影 2017/11/0 奈良・生駒郡平群町福貴

みせの間となかの間(左側)との間仕切りには竹の連子(れんじ)欄間が用いられており、正面奥は仏壇のある座敷で、代官などの接待用に増設された別座敷に続く=撮影 2017/11/0 奈良・生駒郡平群町福貴

釜屋(台所)から見た玄関土間(右)、正面はなかの間=撮影 2017/11/0 奈良・生駒郡平群町福貴

神棚があるなかの間、その正面奥は納戸=撮影 2017/11/0 奈良・生駒郡平群町福貴

6連の大きな竈(かまど)のある釜屋=撮影 2017/11/0 奈良・生駒郡平群町福貴

敷地内にある石段を築いた小山。山頂には屋敷神として祇園社が祀られている=撮影 2017/11/0 奈良・生駒郡平群町福貴
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- 2017/11/07(火) 17:52:19|
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