神霊を迎えるため 独特のオハキを築く秋祭り10月上旬に行われる櫟原(いちはら)の秋祭りの準備として、本当家(トーヤ)に祭神を迎えるための「
オハキ」(祭壇、お仮屋、行宮)がつくられます。これを「
オハキツキ(御はき築き)」と呼び、担当地区(垣内)の氏子がトーヤ宅に集まって、ほぼ一日がかりで庭にオハキを築き、お祓い神事が行われます。
5地区の輪番制で奉仕されますが、本年は上・中垣内が担当し、祭りの中心となる本トーヤはT家。トーヤを務めるのは一生に1度の幸せな巡り合わせといいます。
オハキの形態は高さ約1.6m、上部の直径は約1mの逆円錐形。天部に漆の木で作った鳥居が立ち、その後に神籬(ヒモロギ)の榊が立ちます。オハキの四方の地面を青竹で囲み土砂を敷き、四隅には忌竹を立て注連縄を張れば、神さまが宿るにふさわしいお仮屋であるオハキができあがります。併せて過去の記事(
→こちら)を参照戴ければ幸いです。
オハキツキの名称は行事全体をもさし、古式の祭りの要素が濃く継承されているところから、「櫟原のオハキツキ」として県の
無形民俗文化財に指定(平成21年3月)されています。
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櫟原・生駒山口神社 秋祭り/お渡り(神幸祭) 2015 ・
櫟原・生駒山口神社 秋祭り/オハキツキ・お渡り(神幸祭) 2014

オハキの骨組みは、種類の異なる7本の生木(長さ約2m、太さ約8cm)を逆円錐形に並べ、中心に1本心棒を立て全体を深さ30cmほど埋めたもの。7本の支柱の間に割り竹を交互に通して朝顔型の籠状に編み上げ、籠の隙間に杉葉を挟んで仕上げます=撮影:2016/9/25 奈良・生駒郡平群町櫟原

漆の木で作った鳥居をオハキの天部に立てます=撮影:2016/9/25 奈良・生駒郡平群町櫟原

オハキのお祓い神事=撮影:2016/9/25 奈良・生駒郡平群町櫟原

神さまが降臨するヒモロギの榊が突き立つ秋の空
=撮影:2016/9/25 奈良・生駒郡平群町櫟原
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- 2016/09/29(木) 13:13:11|
- 9月の祭り/行事
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油で黒光りのお地蔵さんのどかな田園地帯の一角にぽつんと建つ小さなお堂。中に祀られているのは、油で黒光りする地蔵立像で、銘文から1523(大永3)年の造立(現地説明版)と伝わります。
このお地蔵さんは村人が泥田の中から掘り出して祀ったとか、クサ(できもの)を治癒する霊験あらたかなどの伝承があります。いつのころからか願掛けに際し油を掛ける習わしが広まり、黒光りで今や顔の造作もわからないほどですが、首に掛けた数珠はくっきりした
地蔵石仏。
油掛地蔵尊と親しんで花を供えたり手を合わせたり、信仰篤い地元の人々に祀られています。毎年7月の盂蘭盆会には油掛け供養(→
こちら)が行われています。
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川西町吐田 油掛地蔵盆 2019 ・
川西町吐田 油掛地蔵盆 2014

田んぼの一角に建つ吹き抜けの地蔵堂=撮影:2016/9/24 奈良・磯城郡川西町吐田(はんだ)

オハギとお水を供えてお参りする老婦人=撮影:2016/9/24 奈良・磯城郡川西町吐田

長年にわたって掛けられた油で黒光りする
地蔵尊。舟型光背を持ち
像高61cm(台座含む)=撮影:2016/9/24 奈良・磯城郡川西町吐田

黄金色に色づき始めた稲穂の海原に浮かぶ地蔵堂。中の油掛地蔵は吐田の人々に祀られ守られる一方、地域民を護るシンボル的な存在です=撮影:2016/9/24 奈良・磯城郡川西町吐田
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- 2016/09/26(月) 15:15:33|
- 大和路の石仏・石造物
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燈火に浮かぶ秋の夜長の観月祭「
中秋の名月」は旧暦8月15日の夜の月のことですが、今年は新暦9月15日と重なりました。珍しく暦のめぐりあわせで、46年ぶり(9月16日付日経新聞朝刊)とのこと。
今年の名月鑑賞は大神(おおみわ)神社へ。あいにく厚い雲に遮られ三輪山に昇る月は見られませんでしたが、観月祭が終わってしばらく後、雲の切れ間から冴えわたる秋の十五夜の月が望めました。なお
中秋の名月が満月とは限らず、今年は9月17日が満月となります。
薄暮のなか、
大神神社祈祷殿前の祭壇にはススキやハギ、月見団子が供えられ祭典が始まります。名月を称えて祝詞奏上、観月句会の優秀俳句の披露に続き、特設舞台で
神楽、
舞楽が奉奏されました。楽人、舞人は当社の神職と巫女たちがお勤めです。
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大神神社 観月祭 2017 ・
大神神社 観月祭 2013 ・
唐招提寺 観月讃仏会 2011 ・
氷室神社 夕座舞楽 2015

修祓、宮司一拝、献饌、祝詞奏上、俳句披露が順次斎行=撮影:2016/9/15 奈良・桜井市三輪
神楽「幸魂(さきみたま)ノ舞」 神霊を遷した榊を手に奉奏する4人舞=撮影:2016/9/15 奈良・桜井市三輪
神楽「奇魂(くしみたま)ノ舞」 鈴を採りものとする4人舞=撮影:2016/9/15 奈良・桜井市三輪
舞楽「蘭陵王(らんりょうおう)」 荘重で勇壮な一人舞=撮影:2016/9/15 奈良・桜井市三輪

祭典の最後に宮司一拝=撮影:2016/9/15 奈良・桜井市三輪
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- 2016/09/16(金) 22:24:14|
- 9月の祭り/行事
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美しい独特の神饌で知られる古式豊かなシンカン祭り倭恩智神社のシンカン祭りは、安永6(1777)年の宮座記録が残っているところから、240年は続いている伝統行事であることがわかります。祭礼は元来9月7、8、9日に行っていたのが近年はそれに近い3日間に変更され、輪番制による大小両当屋(オトヤ、コトヤ)によって行われています。
時代を経ても
神饌御供は今も変わりなく、「七色の御供」 「荷い餅」 「花御供(杉皮御供)」と称す独特な様式の3種。初日に神職のお祓いと巫女の
湯立てによって清め結界されたオトヤ宅の作業場で
神饌の調整が進められます。
2日目(宵宮)は午前中に
神饌の最終調整、午後から大小の御幣(白紙に包んだ洗米が括り付けられている)を先頭に3種の
神饌を納めた唐櫃を担いで
お渡りの後、祭礼と直会。夕刻、神前で御
湯立神事が行われた後、次々訪れる参拝者の邪気を払い長寿を祈る巫女の鈴振り神楽が続けられます。
3日目(例祭)は午前中に渡御と祭礼。
神饌は花御供と蒸御供の各5膳、加えて甘酒。
柳の小枝に根つきの稲穂(初穂)を括り付けた、珍しい御幣(オトヤとコトヤ各1本)が神前に供えられます。祭礼のあと甘酒が参拝者に振るまわれます。
シンカン祭りは収穫祭の一種とみられますが、名称の由来などは→
こちら。簡単な説明としましたので、過去の記事を参照し補って戴ければ幸いです。
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倭恩智神社 シンカン祭り(2) 宵宮 2014 ・
倭恩智神社 シンカン祭り(1) 当屋神事 2014 ・
倭恩智神社 シンカン祭り 宵宮 2013 ・
倭恩智神社 シンカン祭り(2) 宵宮 2012 ・
倭恩智神社 シンカン祭り(1) 神饌 2012

初日の
湯立神事。後方でオトヤが太鼓(左)、コトヤがチャンポラ(銅鈸子)を打つ=撮影:2016/09/03 奈良・天理市海知町

2日目(宵宮)の
お渡り。先頭から玉串を手に氏子総代、神職(田原本町池神社宮司)、御幣を持ち烏帽子に素襖(すおう)姿のオトヤとコトヤ、神饌を納めた唐櫃を担ぐトヤの身内の方=撮影:2016/09/04 奈良・天理市海知町

3種の神饌 「七色の御供」 「荷い餅」 「花御供(杉皮御供)」→詳しくは
こちら(許可を得て撮影)=撮影:2016/09/04 奈良・天理市海知町

参拝の氏子を清める鈴祓いの神楽を舞う巫女と太鼓・チャンポラを奏打する大小の両トヤ=撮影:2016/09/04 奈良・天理市海知町

日が暮れても続く巫女神楽=撮影:2016/09/04 奈良・天理市海知町

3日目(例祭)の朝のオトヤ宅、調整した神饌(蒸御供)を前に
ホットひといき=撮影:2016/09/05 奈良・天理市海知町

柳の枝に初穂を括り付けた御幣を手にオトヤ・コトヤらが宮入り=撮影:2016/09/05 奈良・天理市海知町

神饌御供のほかに奉献された稲穂付き柳の御幣や甘酒=撮影:2016/09/05 奈良・天理市海知町
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- 2016/09/10(土) 13:20:51|
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