奈良大和路~悠~遊~

奈良大和路の祭や伝統行事、四季折々の風景を 写真で綴るフォトブログです。大和は国のまほろば、神や仏に近しく 奥は深くて おもしろい!

新泉 素盞嗚神社 野神祭 2012

新泉 素盞嗚神社 野神祭 2012

大和神社の南隣接地に鎮座するこじんまりした素盞嗚(すさのお)神社。祭神はもちろんスサノオノミコトです。毎年5月3日(元は5日)に稲の豊作と子供の成長を祈願して「ノガミサン」の名で親しまれる野神祭が行われます。

当神社は、戦時中まで西方にあり、松の大木が生えていた小丘の上に鎮座していたので「一本木さん」、その野神祭を「一本木のおんだ」と呼び親しんでいたそうですが、時を経て今ではそう呼ぶことは少ないそうです。

本来、子供(男児)主体のお祭でした。少子化の進んだ今ではかなり様子が変わったようです。祭日当日、神職(大和神社の宮司さん出仕)が子供頭屋さんに赴きます。竹筒と酒の入ったヤカンを持つ頭屋親子、麦藁の作り物(ジャ、ウマ、ウシ)、農具の模型(クワ、スキ、マンガ、ハシゴ)などを携えた役員さんや子供達を従え、集落を練り神社に向かいます。

途中の辻つじでは竹筒を道の隅に打ち込み、筒の中に酒を注ぎます。これはスサノオノミコトが八俣大(ヤマタノオロチ)に酒を飲ませて退治したという故事に因んだもの。

神社境内には、砂を長方形(縦横約0.5mx1m、厚さ約5cm)に盛った神田(タンボ)と直径約1mの円形の土俵(相撲場、スモンバ)が予め設けられています。

献饌、祝詞奏上、玉串奉奠など祭式のあと、子供による耕作所作が行われます。子供は幼いので役員さんがお手伝い。ウマを曳いてタンボを3度まわり、さらにウシにカラスキ(唐鋤)、マンガ(馬鍬)を曳かせるなど耕作のまねごと。次いでウマと共に、タンボからスモンバにかけて早足で3周します。

かつては子供達による相撲が行われていたそうですが今はなく、小さなスモンバがその名残をとどめるのみです。
ちなみに氏子は20世帯(区長さん)、今年参加した子供(男子)は頭屋児を含めて3人だけでした。

興味を引いたのが神饌のひとつ、蒸飯です。餅米を混ぜた米を蒸して型枠にはめて成型した四方約30cm、厚さ約10cmと、そのひと回り小さなものの2段重ね。型枠には元治元(1864)年の銘が残っているとのこと(区長さん)。148年前の道具が受け継がれているのですね。

最後に、ジャ、ウマ、ウシの作り物を高床の社殿に上げ脇に置いてお祭は終了します。

このあと、神職と子供達は子供頭屋に招かれて食事に与ります。赤飯、お餅、ナマブシ、タケノコ、チシャ、フキ、コブ、コーヤトーフ、カンピョウなどの料理で、古くから決まったものだそうです。(子供頭屋さんのお宅で拝見させて戴きました。有難うございました。)

野神は稲作農耕の守護神の一つとされ、これに関連する行事は大和盆地に多く見られます。当新泉の野神祭は下記のリンクに掲げたような行事と共に一括して「大和の野神行事」として国・記録選択無形民俗文化財となっています。

関連記事(当管理者の関連写真記事へのリンク)
 ・新泉 素盞嗚神社 野神祭 2015
 ・田原本町 矢部の綱掛 2012
 ・上品寺町 シャカシャカ祭り 2011
 ・上品寺町 シャカシャカ祭り 2010
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 ・人麿神社(地黄町) すすつけ祭 2009



新泉 野神祭1
頭屋さんの門口に飾られた麦藁の作り物。輪にして軒に
吊り下げられた蛇(ジャ)、手前の背の高いのが馬、その
後で背が低く黒っぽい角を付けたのが牛、左隅には青竹で
作ったカラスキ、マンガのミニチュアが置かれています 
撮影:2012/5/3 天理市新泉町


新泉 野神祭7
ジャ(蛇)の可愛い顔。胴体から足のようなのがたくさん出ているところから、通称ムカデとも呼ばれます。このお祭で目立った活躍の場はありません。神社に到着するとすぐ、社殿前の石灯篭に掛けられ、神事が終わると社殿に置かれます。古くは社殿を取り巻くほどの長さがあった(区長さん)そうですが、現在は3mほど 撮影:2012/5/3 天理市新泉町


新泉 野神祭2
神主を先頭に蛇、馬、牛などを持ち、集落を練って神社に向かう一行 撮影:2012/5/3 天理市新泉町


新泉 野神祭3
辻では青竹の筒を打ち込み、これに酒を注ぎます。スサノオが大蛇を退治した故事にちなむ行為で、たぶん悪霊除けの意味でしょうね 撮影:2012/5/3 天理市新泉町


新泉 野神祭4
昔は子供達が相撲をとった名残をとどめるスモンバ(相撲場)。3本の竹筒にはお酒が注がれ、神主がお祓いをします 撮影:2012/5/3 天理市新泉町


新泉 野神祭5
マンガ(馬鍬)を牛に曳かせて小さなタンボを耕作。子供が幼いので父ちゃん、祖父ちゃんの手助けによってタンボを3周。後の石灯篭にジャが掛けられています。魔除け、悪霊除けの意味でしょうか 撮影:2012/5/3 天理市新泉町


新泉 野神祭6
撤饌あとの神饌を撮らせて戴きました。注目した神饌は右の2段重ねの蒸飯。これを作る型枠には148年前に相当する元冶元(1864)年の銘が残されているそうです 撮影:2012/5/3 天理市新泉町


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  1. 2012/05/06(日) 23:22:40|
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